経営者の考え方

大野耐一の5回のなぜと7つのムダ

大野耐一本人および関係会社とは無関係で、推薦も受けていません。

大野耐一は、トヨタ生産方式の確立に寄与した人物です。トヨタは、豊田英二の強い後押しのもとでジャスト・イン・タイムの基本形をつくり上げたと紹介しています。よく知られている考え方は 2 つあります。問題が起きたら「なぜ」を繰り返して真因までたどること。もう 1 つは、仕事の中のムダを7 つの種類に分けて見つけることです。このページでは、トヨタと Lean Enterprise Institute(LEI)の資料をもとに、2 つを工場以外の仕事にも当てはめる方法をまとめます。

要点

  • なぜを繰り返す:目に見える症状の奥にある真因まで、「なぜ」を問い続けます。
  • 5 は目安:回数ではなく、真因に行き着いて取り除くことが目的です。
  • 7 つのムダ:作りすぎ、手待ち、運搬、加工、在庫、動作、不良・手直し。
  • 作りすぎが最悪:ほかの 6 つのムダの原因にもなるからです。

「なぜ」を繰り返して、真因にたどり着く

LEI の用語解説は 5 Whys を、問題に出会うたびに「なぜ」を繰り返し、目に見える症状の先にある真因を見つけるやり方だと説明しています。例として挙げているのは、LEI が大野の著書の英語版(Ohno 1988)から引いている、止まった機械の話です。

機械が止まったのは、過負荷でヒューズが飛んだからです。過負荷になったのは、軸受けの潤滑が足りなかったからです。潤滑が足りなかったのは、ポンプが十分に油を送っていなかったからで、それはポンプの軸がすり減ってガタついていたからです。軸がすり減ったのは、ストレーナー(ろ過器)がなく、切り粉が入り込んだからでした。「なぜ」を問わなければ、ヒューズやポンプを替えて終わり、同じ故障がまた起きます。

LEI は、5 という数そのものは要点ではないとも書いています。大事なのは、真因に行き着いて取り除くまで問い続けることです。

事務の仕事でも同じです。たとえば「先週、注文 140 件のうち 12 件の発送が 1 日遅れた」なら、ラベルが間に合わなかった、プリンターが詰まった、点検が 1 年遅れていた、プリンターの担当者がいない、とたどれます。最後の答えは「誰かがうっかりした」ではなく、仕組みの穴になるはずです。

7つのムダ:仕事の中のムダを、種類で見分ける

LEI によると、7 つのムダは大量生産によく見られる大きなムダを大野が分類したものです。日本語の呼び名は、LEI の英語の定義を私たちが訳したものです。

LEI は、ムダを見る前に仕事を見ることも勧めています。仕事は、付加価値を生む作業(溶接、穴あけ、塗装など)、いまは必要だがお客様にとって価値のない付随作業(道具を取る、治具を固定する)、そして価値を生まず取り除けるムダに分かれます。

事務の仕事に置き換えるなら、承認待ちや情報待ちは手待ち、ツールの間の転記は運搬、誰も頼んでいない資料やオプションの見積りは作りすぎ、探し物や画面の切り替えは動作、差し戻しは不良・手直しにあたります。この置き換えは出典ではなく、当てはめるための私たちの工夫です。

トヨタ生産方式の中での位置づけ

トヨタは、トヨタ生産方式を「ムダの徹底的排除の思想と、つくり方の合理性を追い求め」たものと説明しています。目的は、働く人を楽にすることを前提に、ムダをなくしてリードタイムを短くし、良い品質のクルマを安く、タイムリーに届けることです。なぜを繰り返すことも 7 つのムダも、この目的のための道具です。ムダの見える工程に手を入れ、真因を取り除き、リードタイムが縮んだかを確かめます。

自分の仕事に当てはめる手順

  1. 起きた問題を「あるべき姿とのずれ」として、数字で書きます(例:当日発送の約束に対し、140 件中 12 件が翌日発送)。
  2. 「なぜ」を問い、答えごとに、記録や証言などの事実を添えます。事実のない答えでは先に進みません。
  3. 答えを逆から「だから」でつないで読み、筋が通るかを確かめます。
  4. 人ではなく仕組みの穴に行き着いたら、その真因を取り除く対策と、当面の応急処置を分けて書きます。
  5. 別の日に、対象の業務を 1 工程ずつ書き出し、作業時間と待ち時間を並べます。
  6. 各工程を付加価値・付随作業・ムダに分け、ムダは 7 種類のどれかを決めます。作りすぎから先に探します。

出典にあること、ないこと

機械停止の例と 7 つのムダの定義は、大野の著書をもとにした LEI の用語解説から、トヨタ生産方式の目的と大野の役割はトヨタ自身の説明から取っています。7 つのムダの日本語の呼び名と、事務の仕事への置き換えは私たちの訳と工夫で、出典の言葉ではありません。大野の著書の本文は引用していません。

よくある質問

5回のなぜは、必ず 5 回問わなければいけませんか?

いいえ。Lean Enterprise Institute の用語解説は、5 という数そのものが要点ではなく、真因に行き着いて取り除くまで問い続けることが大事だとしています。3 回で届くこともあれば、7 回かかることもあります。

7つのムダとは何ですか?

大野耐一による分類で、作りすぎ、手待ち、運搬、加工、在庫、動作、不良・手直しの 7 つです。Lean Enterprise Institute は、ほかの 6 つのムダの原因にもなる作りすぎを、いちばん悪いムダとしています。

工場以外の仕事にも使えますか?

使えます。承認待ちは手待ち、ツール間の転記は運搬、誰も頼んでいない資料づくりは作りすぎ、というように置き換えます。ただし、この置き換えは出典ではなく、当てはめる側の工夫です。

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出典

  1. トヨタ自動車:トヨタ生産方式 — ムダの徹底的排除とリードタイムの短縮。大野耐一はトヨタ生産方式の確立に寄与 (閲覧 2026-11-04)
  2. Lean Enterprise Institute:5 Whys(英語) — なぜを繰り返して真因に至る。5 という数そのものは要点ではない。大野の機械停止の例(LEI が Ohno 1988 から引用) (閲覧 2026-11-04)
  3. Lean Enterprise Institute:7 Wastes(英語) — 大野による 7 つのムダの分類。作りすぎがいちばん悪い (閲覧 2026-11-04)