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仕事で AI を安全に使う:入力してはいけない情報
仕事で AI に入力してはいけないのは、会社がそのツールでの扱いを認めていない限り、次の 5 つです。パスワードや認証キー、他人の個人情報、顧客や社員のファイル、まだ公表していない数字、秘密保持契約の対象。それ以外はたいてい問題ありませんが、その前に設定を 1 つ確認します。個人の ChatGPT と Claude では、会話をモデルの学習に使うかどうかを自分で選べるからです。迷ったら、名前を[お客さま]のような記号に置き換えて頼み、あとで自分で元に戻します。
要点
- 入れない:パスワード、個人情報、顧客・人事のファイル、未公表の数字、秘密保持の対象。
- 設定を 1 つ確認:個人の ChatGPT・Claude で、会話を学習に使うかどうか。
- 会社のアカウントを優先:ChatGPT Business と Claude Team は初期設定で学習に使いません。
- 貼る前に置き換え:[お客さま][金額][日付]。元に戻すのは自分で。
入れてはいけない 5 つ
- パスワード、認証キー、アクセスコード。スクリーンショットや、貼りつけたエラーメッセージの中に写っているものも含みます。
- 他人の個人情報。電話番号つきの氏名、住所、健康に関すること、マイナンバーなどの番号、給与。
- 顧客や社員のファイル。顧客リスト、給与データ、応募者の履歴書、お客さまの情報が入ったクレーム。
- 公表前の数字。発表前の決算、これから出す見積もりの金額、交渉中の条件。
- 秘密保持契約や取引先との契約で、見せる相手が限られているもの。契約に「AI ツールなら例外」と書いてあることはまずありません。
実際に起きていることです。2023 年、Samsung では技術者が社内のソースコードを ChatGPT に貼りつけたことが見つかり、社員の生成 AI の利用を制限したと Bloomberg が報じました。同じ年、日本の個人情報保護委員会は、生成 AI に個人情報を入力する場合は、それが応答の出力以外の目的に使われないことを確かめるよう、事業者に注意を呼びかけています。
確認しておく設定
| アカウント | 学習に使われるか | やること |
|---|---|---|
| 個人の ChatGPT(Free・Go・Plus・Pro) | 初期設定でオン | 設定 > データコントロールで「すべての人のためにモデルを改善する」をオフに。一時チャットは学習に使われません。ただし、高評価・低評価をつけた会話は使われることがあります。 |
| Claude Free・Pro・Max・Ultra | 登録時か、2025 年の確認画面で自分が選んだとおり | プライバシー設定で確認する。オフだと思い込まない。 |
| ChatGPT Business・Enterprise | 初期設定で使われない | 社内ルールに従う。 |
| Claude Team・Enterprise | 初期設定で使われない | 社内ルールに従う。 |
OpenAI と Anthropic のヘルプ・プライバシーのページから、2026 年 11 月 5 日に確認。設定の名前は画面の言語によって少し違うことがあります。学習をオフにしても、上の 5 つを入れてよくなるわけではありません。文章が社外に出ることは同じです。
例:安全な頼み方に書き直す
架空の例です。スタッフ 20 人の整骨院で受付と事務をまとめる山本さん。患者さんから、施術代を二重に請求されたという怒りのメールが届きました。落ち着いた返信を AI に手伝ってほしいのですが、メールには氏名、生年月日、電話番号、受けた施術の内容、請求額が書いてあります。
そのまま貼ると、健康に関わる情報と個人情報が会話に入ってしまいます。山本さんはこう頼みました。
山本さんが貼った文面
「小さな整骨院の事務をしています。患者の[患者さま]に、[日付]の 1 回分の施術代[金額]を二重に請求してしまい、ご立腹です。二重分は本日返金の手続きをしました。おわび、返金の手続きが済んだことと反映される時期、問い合わせ用の直通電話の案内を入れて、ていねいで温かい返信を 200 字程度で書いてください。施術の内容には触れないでください。」
AI はだれのことか、どんな施術かを知らないまま、同じくらい良い返信を書きました。山本さんは 3 つの記号を自分で埋めて送ります。判断の目安はひとつ。この会話を患者さん本人に見られても困らないか。今回は困りません。
安全に使うための 4 つの習慣
- 仕事には会社の AI アカウントを使う。会社にあれば。個人のアカウントは公開されている情報だけに。
- 学習の設定を確認する。仕事に使う個人アカウントなら一度だけ。
- 貼る前に置き換える。名前・金額・日付は記号に。元に戻すのは自分で。
- 出す前に読む。AI は間違ったことも自信ありげに書きます。お客さま、役所、上司に出すものは、必ず自分の目で確かめます。
自分だけでなく、チームのことになったら
1 人の頭の中にあるルールでは会社を守れません。AI を使う同僚が 2〜3 人になったら、1 ページにまとめましょう。使ってよいツール、入れてはいけないもの、社外に出す前にだれが確認するか。チームの AI の使い方をそろえる方法が次の一歩、小さな会社の AI ガバナンスでその 1 ページに何を書くかを解説しています。
下の AI スキルは、使っているツールと扱うデータについていくつか質問し、会社の AI 利用ルールの草案を 1 ページで書きます。白紙からではなく、草案から始められます。
このテーマに使えるスキル
よくある質問
会社の情報を ChatGPT に入れても大丈夫?
会社が契約した ChatGPT Business や Enterprise のアカウントで、社内ルールの範囲内なら、おおむね問題ありません。初期設定で業務データは学習に使われません。個人のアカウントには、ネットの掲示板に書いても困らない程度の内容にとどめ、学習の設定をオフにしておきます。それでも、高評価・低評価をつけた会話は学習に使われることがあります。
学習をオフにすれば、何を入れてもいい?
いいえ。オフにすると会話がモデルの改善に使われなくなりますが、文章が社外のサービスに渡ることは変わりません。契約、個人情報保護法、お客さまとの信頼関係は、そのまま残ります。
お客さまのメールは、名前を消せば貼ってもいい?
本人や会社を特定できるものをすべて消せば、たいていは大丈夫です。名前、メールアドレス、電話番号、住所、注文番号、本人しか知らない事情まで。それぞれを[お客さま]のような記号に置き換え、送る前に自分で元に戻します。
AI スキル
AI に、社内の AI 利用ルールの草案を書かせる
「社内AI利用ポリシーの草案」スキルで、AI がこの一覧を、自社のツールとデータを入れた 1 ページの AI 利用ルールにし、弁護士に見てもらう点に印をつけます。
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出典
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023 年 6 月 2 日) — 入力した個人データが応答の出力以外に使われないことの確認を求める (閲覧 2026-11-05)
- OpenAI ヘルプ:Data controls — 個人の Free・Go・Plus・Pro では学習への利用が初期設定でオン。「すべての人のためにモデルを改善する」で止められる。自動取得を拒否するページのため検索結果の本文で確認 (閲覧 2026-11-05)
- Anthropic プライバシーセンター:Free・Pro・Max・Ultra の学習利用 — 許可した場合のみ学習に使用 (閲覧 2026-11-05)
- Anthropic プライバシーセンター:法人向け製品 — Claude for Work と API は初期設定で学習に使わない (閲覧 2026-11-05)
- ChatGPT の料金 — Business:初期設定でビジネスデータを学習に使わない (閲覧 2026-11-05)
- Bloomberg:Samsung が ChatGPT への情報流出を受けて社員の生成 AI 利用を禁止(2023 年 5 月 2 日) (閲覧 2026-11-05)