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生成 AI の社内ルール:人事が書くべきこと

人事が作る従業員向けの AI 利用ルールは、2 ページ以内で 6 つのことに答えれば十分です。使ってよい AI ツールとアカウント、AI に入れない人のデータ、AI が手伝ってもよいが決めてはいけない判断(採用、給与、懲戒、解雇)、AI を使ったと伝える場面、相談先、そして全員が受ける研修。人事が受け持つのは、人のデータと人についての判断です。AI のルールが労働法や個人情報の扱いとぶつかるのは、まさにそこだからです。最終版は弁護士に確認してもらいましょう。

要点

  • ツール:会社のアカウントだけ。名前を挙げて。
  • 人のデータ:応募者や社員の情報は、認めたツールと目的以外では AI に入れない。
  • 人についての判断:AI は下書きと要約まで。決めるのは人。
  • ほかに:開示、相談先、記録の残る研修。

6 つの項目と文例

  1. 使ってよいツール:「業務には会社アカウントの[ChatGPT Business/Claude Team]を使う。業務に個人の AI アカウントは使わない。」
  2. 入れてはいけないデータ:「応募者や社員の個人情報、健康や休職に関する情報、給与、人事評価、調査の記録、人事ファイルの内容は、人事がそのツールとその目的を認めた場合を除き、AI に入れない。」
  3. AI に任せない判断:「AI は求人票、面接の質問、規程の文案づくりを手伝ってよい。採用、昇進、給与、懲戒、解雇の判断や順位づけはさせない。」
  4. 確認と開示:「AI が書いたものは、出す前に必ず読んで確かめる。応募者、社員、お客さまに聞かれたら、AI を使ったと伝える。」
  5. 相談と報告:「新しいツールを試す前に[担当者]に相談する。社外秘を AI に入れてしまったら、その日のうちに[担当者]に伝える。報告したことで責められることはない。」
  6. 研修:「全員が入社 1 か月以内に 45 分の AI 研修を受け、人事が出席記録を残す。」

採用に関わる法規制の確認点

AI のルールがいちばん厳しいのは採用です。選考の判断を人に残し、次の点を確かめるようルールに書いておきます。

  • 日本:個人情報保護委員会は 2023 年に、生成 AI サービスに個人情報を入力する事業者に対し、それが応答の出力以外の目的で使われないことを確かめるよう注意を呼びかけています。応募書類はまさに個人情報です。また、経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版、2026 年 3 月 31 日)は、AI を使う側の会社(AI 利用者)が守ることをまとめています。法的な拘束力はない指針ですが、社内ルールの拠りどころとして示しておくと、社員にも取引先にも説明しやすくなります。
  • 海外で採用する場合:ニューヨーク市(Local Law 144、2023 年 7 月 5 日から執行)では、自動化された雇用判断ツールは過去 1 年以内のバイアス監査と応募者への通知が条件です。EU の AI 法は採用・選考に使う AI を高リスクとして扱い、2026 年のオムニバス改正でその義務は 2027 年 12 月 2 日から適用されます。
  • EU の AI リテラシー:AI 法 4 条は、AI を使う会社に従業員の AI リテラシーのための措置をすでに求めています。

要約であり、法的な助言ではありません。出典と日付は下にあります。採用する国や地域の規制を確認してください。

例

架空の例です。社員 60 人の物流会社の人事責任者が、1 週間で 3 つのことに気づきました。採用担当が 40 人分の履歴書を個人のチャットに貼って「上位 5 人を選んで」と頼んでいたこと、ある管理職が自分のメモから注意書を AI に書かせていたこと、どの AI ツールに会社がお金を払っているのかだれも知らないこと。彼女は午後のうちに 6 項目を、次の中身で書きました。

  • 使ってよいもの:Claude Team の会社アカウント。業務での個人アカウントは禁止。
  • 採用担当は、求人票と構造化面接の質問づくりに AI を使ってよい。候補者の順位づけは、選考委員の評価シートで人が行う。
  • 管理職は、人事と内容を合意したあとに、評価に関する文書の言い回しを整えるために AI を使ってよい。事実と判断は管理職のもの。
  • 翌月中に全社員向けの 45 分の研修。出席を記録する。

公開前に、採用の項目に印をつけて、顧問の弁護士に草案を送りました。

展開の手順

  1. 推測せずに聞く:今どの AI ツールを使っているか、2 問の匿名アンケートで。
  2. 6 項目を書く:自社のツールとデータで。
  3. 弁護士に確認してもらう:人のデータと採用の項目を中心に。
  4. 研修と一緒に発表する:メールの添付で終わらせない。
  5. 半年ごとに見直す:新しいツールや法律が出たときも。

次の一歩

覚えておかないといけないルールは忘れられます。次の段階は、ルールを AI そのものに入れることです。求人票、面接ガイド、受け入れ計画など、人事でくり返す仕事に共通の指示を用意すれば、AI が毎回ルールを守ります。手元の資料から初めての Claude スキルを作る方法で最初の 1 つを。研修は社員向け AI 研修の進め方、全社向けのひな形は生成 AI 社内ルールのひな形へ。

下の AI スキルは、自社のルールの草案を書きます。ツールとデータについていくつか答えると、AI がわかりやすい文で草案を書き、弁護士に見てもらうべき点に印をつけます。

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よくある質問

従業員向けの AI 利用ルールには何を書けばいい?

使ってよいツールとアカウント、AI に入れてはいけないデータ(人事なら応募者と社員の情報すべて)、AI に任せない判断(採用、給与、懲戒、解雇)、AI を使ったと伝える場面、相談先、研修です。1〜2 ページにまとめ、弁護士に確認してもらいます。

人事が ChatGPT で応募書類を選別してもいい?

慎重に考えてください。採用での自動化ツールを規制している地域があります。ニューヨーク市は毎年のバイアス監査と応募者への通知を求め、EU は採用に使う AI を高リスクとして扱い、その規制は 2027 年 12 月 2 日から適用されます。AI は求人票や面接の質問づくりに使い、選考の判断は人が行います。

AI を使ったことは従業員に開示させるべき?

簡単なルールを決めます。お客さまや応募者に聞かれたとき、その文書が本人の判断として扱われるとき、法律や契約が求めるときは伝える、というものです。

AI スキル

AI に、社内の AI 利用ルールの草案を書かせる

「社内AI利用ポリシーの草案」スキルで、自社のツールとデータから AI が従業員向けの AI ルールの草案を書き、人のデータと採用の項目に弁護士確認の印をつけます。

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出典

  1. 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」 — 最新は第1.2版(2026 年 3 月 31 日)。第1.0版は 2024 年 4 月 19 日、第1.1版は 2025 年 3 月 28 日。第1.0版・第1.1版では AI 利用者向けが第 5 部。第1.2版の部の構成は PDF を読めず未確認。法的拘束力のない指針。版と日付は検索結果の本文と解説記事で確認 (閲覧 2026-11-05)
  2. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023 年 6 月 2 日) — 個人データを入力する際は、応答の出力以外に使われないことの確認を求める (閲覧 2026-11-05)
  3. ニューヨーク市 消費者・労働者保護局:自動化された雇用判断ツール(Local Law 144) — 使用前 1 年以内のバイアス監査、応募者への通知。2023 年 7 月 5 日から執行 (閲覧 2026-11-05)
  4. Gibson Dunn:EU AI 法オムニバス合意と高リスク規制の延期 — 採用ツールなど独立した高リスク AI は 2027 年 12 月 2 日に延期 (閲覧 2026-11-05)
  5. 欧州委員会:AI literacy - questions & answers — 4 条は 2025 年 2 月 2 日から適用。証明書は不要 (閲覧 2026-11-05)
  6. Microsoft・LinkedIn「2024 Work Trend Index」 — AI 利用者の 78% が自分のツールを持ち込み、会社の研修を受けたのは 39% (閲覧 2026-11-05)