ガイド
生成 AI 社内ルールのひな形(小さな会社向け)
小さな会社の生成 AI 社内ルールは、8 つの項目で 1 ページに収まります。使ってよいツールとアカウント、AI に入れてはいけないもの、社外に出す前にだれが確かめるか、AI を使ったと伝える場面、新しいツールの申請、事故のときの対応、研修、そして担当者と見直しの日。下のひな形を写して[ ]の中を自社のツールとデータで埋め、データと開示の項目は弁護士に確認してもらいます。法的な助言ではありません。
要点
- 1 ページ、8 項目。監査のためではなく、AI を使う本人のために書く。
- 具体的に:「機密情報」ではなく、ツールとデータの名前を挙げる。
- 担当者を決める:1 人、見直しの日つき。
- 確認してもらう:データと開示の項目は弁護士に。
ひな形
[会社名]生成 AI 利用ルール ・ 担当:[氏名] ・ 見直し:[日付]
1. 使ってよいツール
業務には会社アカウントの[ツール名・プラン]を使う。
個人の AI アカウントは公開されている情報にだけ使う。
2. どの AI ツールにも入れないもの
- パスワード、認証キー、入館コード
- [お客さま/患者さま/応募者]の個人情報
- [給与データ、秘密保持契約の資料、公表前の数字 など]
[担当者]がそのツールとそのデータを認めた場合を除く。
3. 社外に出す前の確認
AI が下書きした[メール/報告書/見積もり]は、
[お客さま/取引先/役所]に出す前に必ず人が読んで確かめる。
事実、数字、名前、日付、約束を確認する。
4. AI を使ったと伝える場面
聞かれたとき、[契約/法令]が求めるとき。
5. 新しいツール
新しい AI ツールを使う前、社内のシステムにつなぐ前に
[担当者]に相談する。[3]営業日以内に返事をする。
6. 事故のとき
2 に挙げたものを AI に入れてしまったら、その日のうちに
[担当者]に伝える。報告したことで責められることはない。
7. 研修
全員が入社[30]日以内に[研修名]を受ける。
[担当者]が出席の記録を残す。
8. 変更
[担当者]が[6]か月ごと、またはツール・契約・法令が
変わったときに、このページを見直す。
各項目の埋め方
- 1 の項目:初期設定でデータを学習に使わないプランを選びます。ChatGPT Business・Enterprise、Claude Team・Enterprise など。個人向けの ChatGPT では、各自がオフにしない限り学習に使われます。
- 2 の項目:自社の契約、プライバシーポリシー、お客さまとの約束から一覧を作ります。社員がすぐわかる呼び方で書きましょう。「顧客フォルダ」「給与の CSV」など。個人情報保護委員会は、生成 AI に個人情報を入力するなら、応答の出力以外に使われないことを確かめるよう求めています。
- 3 の項目:「出力」ではなく文書の名前を挙げます。英国政府の AI Playbook はこれを、適切な段階で人が実質的に関与し続けることと表現しています。
- 全体の拠りどころ:日本では、経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」(最新は第1.2版、2026 年 3 月 31 日)が、AI を使う側の会社(AI 利用者)に求められることをまとめています。法的な義務ではありませんが、社内ルールを作るときの政府の参照先です。ひな形を埋めたら AI 利用者向けの部分と照らし合わせ、取引先や監査に聞かれたときに、このガイドラインを踏まえて作ったと説明できるようにしておきましょう。
- 7 の項目:EU で事業をしているなら、AI 法 4 条が AI を使う会社に従業員の AI リテラシーへの取り組みを求めていて、欧州委員会は社内の記録で足りるとしています。
記入例
架空の例です。所員 14 人の設計事務所は、ひな形をこう埋めました。
- 使ってよいもの:Claude Team の会社アカウント。個人の ChatGPT は公開情報の調べものだけ。
- 入れないもの:締結済みの設計監理契約、お客さまと合意した報酬額、提出前の確認申請の図書、所員の給与、人事フォルダの中身、現場の鍵の番号や入館情報。
- 確認:AI が下書きしたお客さま向けの報告書と提案書の本文は、送る前に所長が読む。報酬額は下書きのあとに人が書き入れ、AI には書かせない。
- 開示:お客さまに聞かれたとき、そして提出先の行政が求める書類。
- 担当:事務長。半年ごとに見直す。
事務長がひな形で書くのにかかったのは 50 分。事務所の顧問弁護士が指摘したのは 1 か所で、開示の項目にお客さまとの契約の秘密保持条項を引くことになりました。
実際に動かす
- 今どの AI ツールが使われているかを聞く。
- ひな形を埋める:自社のツール、データ、文書で。
- 弁護士に 2 と 4 を確認してもらう。
- 短い研修で発表する:メールで配って終わりにしない。社内の生成 AI 研修の進め方を参考に。
- できるところはルールを AI 自体に入れる:お客さまの情報を入れないよう念を押す共通の指示など。
次の一歩
ルールは「何をすべきか」を決めます。共有の AI スキルなら、それが最初から組み込まれます。提案書のスキルに「報酬額は[報酬]のまま空けておき、所長が書き入れる」と入れておけば、だれもルールを覚えておく必要がありません。考え方はAI スキルの解説、手順は初めての Claude スキルを作る方法で。ルールの背景にある考え方は小さな会社の AI ガバナンスへ。
下の AI スキルは、このひな形を代わりに埋めます。ツール、データ、お客さまについての質問に答えると、AI がわかりやすい文でルールを書き、弁護士に見てもらう点に印をつけます。
このテーマに使えるスキル
よくある質問
生成 AI の社内ルールには何を書けばいい?
使ってよいツールとアカウント、AI に入れてはいけないもの、社外に出す前にだれが確かめるか、AI を使ったと伝える場面、新しいツールの申請方法、事故のときの対応、研修、担当者と見直しの日です。小さな会社なら 1 ページで足ります。
生成 AI の社内ルールのサンプルは無料で使える?
このページのひな形を使えます。写して[ ]の中を埋め、データと開示の項目を、自社の契約と日本の法令に照らして弁護士に確認してもらってください。
AI の社内ルールと AI ガバナンスはどう違う?
ガバナンスは仕組み全体で、だれが決めるか、リスクをどう把握するか、ルールをどう保つかを含みます。社内ルールは、社員全員が読んで守る 1 ページのことで、小さな会社がガバナンスで最初に手をつける部分です。
AI スキル
AI に、社内の AI 利用ルールの草案を書かせる
「社内AI利用ポリシーの草案」スキルで、いくつかの質問に答えるだけで AI がこのひな形を自社向けに埋め、弁護士に見てもらう点に印をつけます。
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出典
- 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」 — 最新は第1.2版(2026 年 3 月 31 日)。第1.0版は 2024 年 4 月 19 日、第1.1版は 2025 年 3 月 28 日。第1.0版・第1.1版では AI 利用者向けが第 5 部。第1.2版の部の構成は PDF を読めず未確認。法的拘束力のない指針。版と日付は検索結果の本文と解説記事で確認 (閲覧 2026-11-05)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023 年 6 月 2 日) — 個人データを入力する際は、応答の出力以外に使われないことの確認を求める (閲覧 2026-11-05)
- NIST:AI Risk Management Framework — 統治・把握・測定・管理。任意の枠組み (閲覧 2026-11-05)
- 英国政府:AI Playbook — 適切な段階で人が実質的に関与するなどの原則 (閲覧 2026-11-05)
- 欧州委員会:AI literacy - questions & answers — 4 条。研修の社内記録で足りる (閲覧 2026-11-05)
- OpenAI ヘルプ:Data controls — 個人向けプランはオフにしない限り会話を学習に使う。検索結果の本文で確認 (閲覧 2026-11-05)
- Anthropic プライバシーセンター:法人向け製品 — 初期設定で学習に使わない (閲覧 2026-11-05)