ガイド
クライアントに生成 AI の利用をどう伝えるか
仕事を始める前に、クライアントごとに 1 ページで AI の使い方を伝えます。目的の一文と、担当者・見直し日のほかに、書くのは 5 つです。どの AI ツールとアカウントを何に使うか、クライアントのどの情報を入れないか、納品前にだれが確認するか、AI を使ったことをいつ伝えるか、そして成果物の権利。最後の点は大事です。文化庁の「AI と著作権に関する考え方について」(2024 年 3 月)は、AI への指示がアイデアにとどまる場合は AI 生成物に著作物性は認められず、個々の生成物ごとに人の創作的寄与の程度などを総合的に見て判断するとしています。メモは契約書や発注書に入れ、先にクライアント側の契約の AI の定めを確かめます。
要点
- ツール:名前、アカウント、学習の設定。
- データ:入れないものを、例つきで。
- 確認:納品前に、決まった人がすべて見る。
- 開示と権利:AI の利用をいつ伝えるか、何を渡すか。
1 ページのメモ
- 目的を 2 文で:AI で仕事を速くし、クライアントの情報と品質を守る。
- 承認ツール:ツール、プラン、何に使うか、そのアカウントがデータを学習に使うか。書いていないものはクライアントの仕事に使わない。
- クライアントの情報:決して入れないもの(パスワード、クライアントの顧客の個人情報、公表前の数字、契約で制限されているもの)、承認アカウントにだけ入れるもの、どこでもよいもの。
- 確認:すべての成果物を人が確認し、事実、数字、引用は情報源と照らし合わせる。
- 開示:クライアントや、その先の読み手に、AI を使ったことをいつ伝えるか。
- 権利:クライアントに何を譲渡するか。弁護士と書く。
- 担当と見直し日:だれがメモを最新に保ち、新しいツールを承認するか、データの問題をどれだけ早く知らせるか、次にいつ見直すか。
例
架空の例です。6 人のコンテンツ制作会社が、新しい小売のクライアント向けにメモを書きました。その一部です。
メモから
目的:調べものと下書きを速くするために AI を使います。御社の情報は学習に使われないアカウントにだけ入れ、お送りするものはすべて当社の担当者が確認します。
承認ツール:Claude Team(調べものと最初の下書き)。当社の法人プランは初期設定でデータを学習に使いません[要確認:ベンダーの規約]。御社の仕事にはほかのツールを使いません。
御社の情報:決して入れないもの:顧客名簿、公表前の売上、発売日、社外秘とされたもの。承認アカウントにだけ入れるもの:ブランドガイド、商品の情報、過去のキャンペーン。どこでもよいもの:御社のウェブサイトと公開済みの記事。
確認:担当ディレクターがすべての成果物を読み、事実と数字を情報源と照らし合わせてからお送りします。
開示:成果物の大半が AI の生成によるものであればお伝えし、表示が必要なプラットフォームや法令の定めに従います[要確認:法務]。
権利:お支払いのあと、成果物について当社が持つ権利を御社に譲渡します[要確認:法務。AI が生成した部分は著作物と認められない場合がある]。
担当:代表の陳 真也が、新しいツールを御社の仕事に使う前に承認します。御社の情報に問題があれば 1 営業日以内にお知らせします · 次の見直し:6 か月後
クライアントの購買担当から質問が 1 つ来ました。公表前の新商品の下書きをツールに入れてよいか。メモがすでに答えています。商品の情報は承認アカウントで可、発売日と売上の数字は不可です。
送る前に
- クライアントの契約を読み、AI の定めがあればそちらを優先する。
- ツールごとのデータの規約を、実際に契約しているプランについてベンダーのページで確かめる。
- クライアントの情報は法人アカウントで扱う。個人向けのプランは、オフにしない限り会話を学習に使うことがあります。クライアントの顧客の個人情報を入れるなら、個人情報保護委員会が求めるとおり、応答の出力以外に使われないことを確かめます。
- 権利と開示の文面は弁護士に読んでもらう。
- メモは 6 か月ごとに見直す。ツールも規約も変わるからです。
要約であり、法的な助言ではありません。この記事は日本の考え方で書いています。米国の著作権局の報告については、このページの英語版で扱っています。
次の一歩:自社のやり方をスキルで渡す
AI の使い方をクライアントに信頼してもらえたら、次は自社のやり方をクライアント自身が使える形で渡すことです。自社のやり方を AI スキルでクライアントに届けるで説明しています。社内のルールは生成 AI の利用ルールのテンプレートで。
このテーマに使えるスキル
よくある質問
制作会社は生成 AI を使っていることをクライアントに伝えるべき?
はい。仕事を始める前に、書面で伝えます。どのツールとアカウントを何に使うか、入れないクライアントの情報、納品前に人が確認すること、AI を使ったことをいつ伝えるか。クライアント側の契約で AI について定めていることも増えているので、先に確かめてください。
クライアントへの AI 利用の開示には何を書く?
1 ページに 5 つです。データの設定つきの承認ツール、入れないクライアントの情報、だれが確認するか、AI の利用をいつ伝えるか、成果物の権利。法律や契約しだいの点には、法務の確認の印をつけます。
AI で作った成果物の著作権はクライアントに渡せる?
人がどれだけ創作に関わったかによります。文化庁の「AI と著作権に関する考え方について」(2024 年 3 月、法的拘束力はない)は、AI への指示がアイデアにとどまる場合は著作物性が認められず、個々の生成物ごとに創作的寄与の程度などを総合的に見て判断するとしています。契約で何を譲渡するかを書き、弁護士に確かめてもらいます。
AI スキル
AI に、社内の AI 利用ルールの草案を書かせる
このスキルを AI Skill Pod に入れれば、チーム全員が自分の Claude、Cursor、ChatGPT(Pro・Business・Enterprise)で使えます。招待リンク 1 つで共有でき、無料で始められます。「社内AI利用ポリシーの草案」スキルで、AI が自社のツールとデータからクライアント向けの AI 利用のメモを下書きします。学習の設定つきの承認ツール、例つきの 3 つのデータの区分、確認と開示のルール、担当者、そして法務の確認が要る点の印。
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出典
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AI と著作権に関する考え方について」(2024 年 3 月 15 日) — AI への指示が表現に至らないアイデアにとどまる場合、AI 生成物に著作物性は認められない。個々の生成物ごとに、創作的寄与がどの程度積み重なっているか等を総合的に考慮して判断。この考え方自体に法的な拘束力はない。PDF の本文で確認 (閲覧 2026-11-05)
- 文化庁:AI と著作権 (閲覧 2026-11-05)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023 年 6 月 2 日) — 個人データを入力する際は、応答の出力以外に使われないことの確認を求める (閲覧 2026-11-05)
- Anthropic プライバシーセンター:商用プラン — Claude for Work は初期設定で学習に使わない (閲覧 2026-11-05)
- ChatGPT の料金 — Business:初期設定で業務データを学習に使わない (閲覧 2026-11-05)