ビジネスの古典
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』:マネジャーのアウトプットとてこ
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』は、アンディ・グローブがインテルを率いていた 1983 年に書いたマネジメントの本です。中心の考えは、マネジャーのアウトプットは自分のチームのアウトプットに、影響を及ぼす周りのチームのアウトプットを足したもの、ということです。だからマネジャーは、てこの大きい仕事、つまり多くの人のアウトプットを上げる研修、1 on 1、明確な目標に時間を使うべきだとします。本には、グローブがインテルで使った目標と主要な結果の仕組み、のちの OKR も出てきます。
要点
- マネジャーのアウトプット:自分のチームと、影響を及ぼすチームのアウトプットの合計。
- てこ:自分の 1 時間あたりで、いちばん多くのアウトプットを上げる活動を選ぶ。
- できないのか、やらないのか:技能が足りないなら研修、意欲が足りないなら話し合い。
- タスク習熟度:その仕事に不慣れな人には細かく、慣れた人には任せる。
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どんなときに使うか
マネジャーが 1 週間ずっと忙しいのに、チームの成果が動かない。昇進したばかりのマネジャーが、まだ現場の作業の大半をしている。来期のマネジャーの時間の使い道を決めたい。こうしたときに使います。
この本は、すでに回っている組織の運営についての本です。会社が存続の危機にあるなら、優先順位が変わります。『HARD THINGS』の解説を参照してください。目標そのものの立て方は『Measure What Matters』にあります。
押さえておく考え方
マネジメントを生産として見る。グローブは、卵、トースト、コーヒーの朝食をつくる工場の例から始めて、生産、ボトルネック、指標を説明します。そしてマネジャーの仕事も、入力、出力、測り方で同じように見ます。
マネジャーのアウトプット。マネジャーが自分で手を動かす作業は、1 人分の仕事にしかなりません。数えるべきは、組織と、影響を及ぼすチームのアウトプットです。2015 年版の序文でベン・ホロウィッツは、ここがマネジャーと個人で働く人の違いだと書いています。
てこ。多くの人や長い期間に効く活動があります。手順を教える、チームの詰まりを解く判断、明確な目標。グローブの助言は、そうした活動に時間を回すことです。
できないのか、やらないのか。仕事ができていない人は、できないか、やらないかのどちらかです。できないなら研修、やらないなら動機づけ。本の最後の章は、研修は上司の仕事だと説きます。
タスク習熟度。どれだけ細かく関わるかは、肩書きではなく、その仕事についての経験で決まります。
1 on 1 と会議。本は 1 on 1 をマネジメントの中心の道具として扱い、情報を共有する会議と、決める会議を分けて考えます。
小さな例で試す
説明のための架空の例です。サポートのリーダーが、週に 14 時間を問い合わせ対応に、6 時間を会議に、2 時間を 1 on 1 に使い、研修には 0 時間です。てこで並べ替えると、問い合わせ対応はリーダー自身の作業です。新しいメンバーに上の担当へ回す手順を教える 2 時間と、製品チームにサポートの困りごとを伝える週 1 時間は、サポート全体と隣のチームのアウトプットを上げます。請求の問い合わせに慣れたメンバーにはそのまま任せ、新しいメンバーには最初に一緒に対応します。
自分の 1 週間を見直す手順
- ふつうの 1 週間を書き出す。活動ごとに時間を書きます。
- 活動に印をつける。自分のチームのアウトプットを上げるか、隣のチームか、自分の作業か。
- 自分の作業のうち、ほかの人が持てるものを探す。その人がその仕事にどれだけ慣れているかも書きます。
- 慣れた人には任せ、不慣れな人には教える。
- 成果が出ていない人について、できないのか、やらないのかを、根拠とともに書きます。
- 1 on 1 を確かめる。しばらく話していない人はだれか。
- 来期の目標を確かめる。アウトプットを測っていて、達成か未達かで採点できるか。
自分の予定表でこの手順を回すなら、グローブ流 マネジャーのてこの点検のスキルが使えます。1 回の 1 on 1 の準備には1 on 1 準備のスキルが向いています。
よくある失敗
- 自分で片づけた件数をアウトプットと数える。マネジャーが手を動かす作業は、いちばんてこが小さい仕事です。
- 全員を同じように扱う。関わり方は、肩書きではなく仕事ごとの習熟度で決めます。
- 時間がかかるからと研修を飛ばす。グローブは研修を、てこの最も大きい活動の 1 つと見ていました。
- 目的のない会議。共有のための会議か、決めるための会議かを決めます。
出典について
アンドリュー・S・グローブは、インテルの創業時に加わり、のちに CEO になりました。1983 年に、インテルで使った方法について『High Output Management』を書いています。2015 年にはベン・ホロウィッツの序文つきの新版が出ました。インテルでグローブから目標と主要な結果を学んだジョン・ドーアは、のちに『Measure What Matters』(2018 年)でそれを書いています。邦訳は小林薫 訳『HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント』で、日経BP社から 2017 年に出ています(以前の訳は早川書房から)。グローブの考えをもっと知るには、アンディ・グローブの OKR、1 on 1、マネジャーのてこも参照してください。
このページは、私たちが自分の言葉でまとめた独立した要約です。著者の遺族や出版社とは関係がなく、承認も受けていません。書名は本を示すためだけに使っています。ほかの解説はビジネス書と戦略書の解説一覧にあります。
よくある質問
『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の中心の考えは?
マネジャーのアウトプットは自分の作業ではなく、自分のチームのアウトプットと、影響を及ぼす周りのチームのアウトプットの合計だ、という考えです。マネジャーの仕事は、それをいちばん大きく動かす活動を選ぶことです。
タスク習熟度とは?
特定の仕事に対する、その人の経験の深さです。グローブは、その仕事に慣れていない人には細かく関わり、慣れている人にはもっと任せるべきだと考えました。
OKR はこの本から始まった?
本は、グローブがインテルで使っていた目標と主要な結果の仕組みを説明しています。インテルでそれを学んだジョン・ドーアが、のちに『Measure What Matters』で OKR を広めました。
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出典
- Wikipedia:High Output Management — インテルの CEO アンディ・グローブの 1983 年の本。目標と主要な結果、測れる工程、評価、研修 (閲覧 2026-11-04)
- ベン・ホロウィッツによる序文(a16z、2015 年) — マネジャーのアウトプット、できないのかやらないのか、タスク習熟度、1 on 1、研修は上司の仕事 (閲覧 2026-11-04)
- What Matters:OKR の起源 — グローブがドラッカーの目標管理をもとにインテルで OKR をつくった (閲覧 2026-11-04)
- CiNii Books:『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』 — 小林薫 訳、日経BP社、2017 年 1 月。旧訳は早川書房 1984 年、1996 年 (閲覧 2026-11-04)