ビジネスの古典

『Measure What Matters』:うまく回る OKR の書き方

『Measure What Matters』は、ジョン・ドーアが 2018 年に書いた OKR(目標と主要な結果)の本です。目標は「何を達成したいか」、3〜5 個の主要な結果は「届いたことを何の数字で確かめるか」を表します。ドーアはこの方法をインテルのアンディ・グローブから学び、1999 年に Google へ持ち込みました。少数の測れる目標を全員に見える形で共有し、こまめに見直すと、チームが同じ方向に集中できる、というのが本の主張です。

要点

  • 目標:達成したいことを平易な言葉で。野心的に、ただし数字は入れない。
  • 主要な結果:測れる成果を 3〜5 個。出発点の値と目標値を書く。
  • 少なく、全員に見える形で:1 チームが四半期に持つ OKR は数個まで。
  • 報酬と切り離す:正直な目標と、高い目標を立てやすくするため。

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どんなときに使うか

みんな忙しく働いているのに向かう方向がばらばら、優先順位が毎週変わる、今期の成功がどういう状態かをだれも言えない。そんなときに使います。5 人以上のチームや、複数のチームの足並みをそろえたい会社でいちばん効きます。

毎日話している 2 人のチームや、月次決算のように目標が決まっている定型業務には、あまり要りません。OKR は戦略の代わりにもなりません。何に集中するかが決まっていなければ、先に良い戦略の核などで決めます。

押さえておく考え方

目標と主要な結果。目標は方向です(「新しい院の導入を楽にする」)。主要な結果は作業ではなく成果です(「導入にかかる日数の中央値を 9 日から 3 日へ」)。「新しい設定画面を出す」のように、作業をすれば終わるものは、主要な結果の形をした作業です。

4 つの力。本は OKR の効き目を、優先事項に集中してコミットすること、足並みをそろえること、進み具合を追うこと、無理と思える高さを狙うこと、の 4 つの力として説明します。What Matters はコミットメントを独立させ、F.A.C.T.S. とまとめています。

コミット型と挑戦型。コミット型は全部達成するもの。挑戦型は高く狙い、大半まで届けば良い結果とします。書くときにどちらかを決めておきます。

対話、フィードバック、承認。本は OKR を、年 1 回の評価ではなく、こまめな話し合いと組み合わせます。What Matters はこれを CFR と呼んでいます。

小さな例で試す

説明のための架空の例です。12 人のチームが、整体・理学療法の院に予約ソフトを売っています。前の四半期、新しい院の導入にかかった日数の中央値は 9 日で、5 院に 1 院が最初の 1 か月で解約しました。

部分下書き書き直し
目標導入を改善する新しい院の導入を、どの院にとっても楽にする
主要な結果 1設定画面を出す導入日数の中央値を 9 日から 3 日へ
主要な結果 2ヘルプ記事を 10 本書く最初の 1 か月の解約を 20% から 10% へ
主要な結果 3新しい院すべてに電話する新しい院の 10 院中 8 院が、最初の週に患者の予約を入れる

設定画面も記事も電話も、計画から消えません。目標そのものではなく、主要な結果を動かすための打ち手という位置づけに変わります。

OKR の書き方

  1. 戦略から始める。今期いちばん大事なことを 1〜2 つ、理由とともに書きます。
  2. 目標を 1〜3 つ書く。平易で覚えやすく、野心的に。数字は入れません。
  3. それぞれに主要な結果を 3〜5 個つける。出発点、目標値、担当者を書きます。
  4. 主要な結果を 1 つずつ確かめる。作業をすれば終わるものなら、その作業が生むはずの成果に書き直します。
  5. コミット型か挑戦型かを決める。それぞれ、どの点数なら成功とするかも決めます。
  6. 共有してそろえる。OKR を公開し、チームの OKR が会社の OKR を支えているかを確かめます。上の OKR を一字一句写す必要はありません。
  7. 毎週確かめ、最後に採点する。進み具合と詰まりを話し、正直に採点します。点数は報酬の判断に使いません。

自分たちの目標と数字でこの手順を回すなら、OKR 下書きのスキルが使えます。作業になっている主要な結果も指摘します。

よくある失敗

  • OKR が多すぎる。目標がいくつも並べば、集中はありません。
  • 作業を主要な結果にする。機能を出すことと、問題が解けることは別です。
  • 出発点がない。「継続率を上げる」だけでは、何も測れません。
  • 賞与と結びつける。確実に届く目標しか出てこなくなります。
  • 立てて終わり。四半期の最初と最後にしか見ない OKR は、途中で何も変えません。

アンディ・グローブがインテルでどう運用したかは、アンディ・グローブの OKR とマネジャーのてこと『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』の解説にあります。

出典について

ジョン・ドーアは、ベンチャーキャピタルの Kleiner Perkins に長く在籍し、Google の初期の投資家でもあります。『Measure What Matters』は 2018 年に出ました。ドーアはインテルでアンディ・グローブのもとで働いていたときにこの方法を学びました。グローブはピーター・ドラッカーの目標管理をもとにこの方法をつくり、1983 年の『High Output Management』で説明しています。ドーアは 1999 年に Google の創業者に OKR を紹介しました。邦訳は土方奈美 訳『メジャー・ホワット・マターズ 伝説のベンチャー投資家が Google に教えた成功手法 OKR』で、日本経済新聞出版社から 2018 年に出ています。

このページは、私たちが自分の言葉でまとめた独立した要約です。ジョン・ドーア本人や出版社とは関係がなく、承認も受けていません。書名は本を示すためだけに使っています。ほかの解説はビジネス書と戦略書の解説一覧にあります。

よくある質問

OKR とは?

目標(Objective)は、達成したいことを覚えやすい言葉で書いたものです。主要な結果(Key Results)は、そこに届いたかを数字で示す 3〜5 個の成果です。ふつう四半期ごとに、チームの優先順位を決めるのに使います。

コミット型と挑戦型の違いは?

ジョン・ドーアの What Matters は、コミット型を必ず達成するもの、挑戦型を届かなくても普通とされる高い目標として説明しています。混ぜると、目標が控えめになるか、約束が守れなくなります。

OKR を賞与と結びつけるべき?

What Matters は、OKR を報酬と切り離すと説明し、その習慣をインテルのアンディ・グローブまでさかのぼっています。報酬と結びつけると、確実に届く低い目標ばかりになります。

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「戦略から四半期の OKR を作る」スキルが、この手順を AI に任せられる形にしています。自社や担当する市場、数字を渡すと、AI が同じ手順で進めてまとめます。

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出典

  1. What Matters:Measure What Matters(本の紹介) — 2018 年にジョン・ドーアが執筆。4 つの力、対話・フィードバック・承認 (閲覧 2026-11-04)
  2. What Matters:OKR の意味・定義・歴史 — 目標と主要な結果、コミット型と挑戦型、F.A.C.T.S. (閲覧 2026-11-04)
  3. What Matters:OKR の起源 — インテルのアンディ・グローブがドラッカーの目標管理をもとにつくり、ドーアが 1999 年に Google へ紹介 (閲覧 2026-11-04)
  4. CiNii Books:『メジャー・ホワット・マターズ』 — 土方奈美 訳、日本経済新聞出版社、2018 年 10 月 (閲覧 2026-11-04)
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