ビジネスの古典
『Obviously Awesome』:商品のポジショニングを手順で決める
『Obviously Awesome』は、エイプリル・ダンフォードが、テック商品を立ち上げてきた経験から 2019 年に書いたポジショニングの本です。ポジショニングを 5 つの要素で定めます。競合する代わりの手段、独自の特徴、その特徴が生む価値、いちばん合う顧客、市場のカテゴリーです。肝心なのは順番です。商品がなかったら顧客が何を使うかから始め、自社にしかないものを見つけ、その価値と、それをいちばん大事にする顧客を決め、最後に、その価値がひと目で伝わるカテゴリーを選びます。
要点
- 競合する代わりの手段:自社がなければ顧客がすること。
- 独自の特徴と価値:自社にしかないもの、それが顧客にとってなぜ大事か。
- いちばん合う顧客:その価値をいちばん大事にする人たち。
- 市場のカテゴリー:価値がひと目で伝わる枠。最後に選ぶ。
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どんなときに使うか
買い手が商品を「分かって」くれないとき、商談で商品の説明に時間がかかりすぎるとき、商品は変わったのに伝え方が変わっていないとき、発売やホームページの書き直しの前に使います。主に企業向けやテックの商品のために書かれています。
買い手の頭の中で言葉を 1 つ持つ、という以前からの考え方は『ポジショニング戦略』の解説に、最初に攻める市場の選び方はキャズム理論の解説にあります。
押さえておく考え方
ポジショニングは文脈。顧客は、何と比べるかで商品を判断します。同じ商品が、あるカテゴリーでは高く、別のカテゴリーでは安く見えます。
5 つの要素。
| 要素 | 問い |
|---|---|
| 競合する代わりの手段 | 自社がなかったら、顧客は何をするか |
| 独自の特徴 | 代わりの手段になくて、自社にあるものは何か |
| 価値 | それぞれの特徴で顧客は何ができるか。証拠は |
| いちばん合う顧客 | その価値をいちばん大事にするのはだれか |
| 市場のカテゴリー | その人たちに価値がひと目で伝わる枠は何か |
要素はつながっている。カテゴリーを変えれば、代わりの手段も変わります。だからダンフォードは、ポジショニング文を思いつきで埋めることに反対します。
チームで決める。営業、マーケティング、商品、経営の人と一緒に、いちばん良い顧客から考え始めるよう勧めています。
小さな例で試す
説明のための架空の例です。予約ソフトを売るチームが、自社を「オールインワンの院向けプラットフォーム」と呼んでいます。いちばん満足している顧客は理学療法の院で、このソフトがなかったら何を使うかと聞くと、紙の予約帳と、受付が患者に電話することだと答えます。このソフトにしかないのは、患者が返信で確定できるリマインダーです。価値は空いてしまう枠が減ること。いちばん合う顧客は、無断キャンセルで療法士 1 人の枠が丸ごと空く院です。それがひと目で伝わるカテゴリーは「院向けの予約リマインダー」で、「院向けプラットフォーム」ではありません。後者だと、はるかに大きな総合ソフトと比べられてしまいます。
商品の位置を決める手順
- いちばん良い顧客を並べる。いちばん早く価値を得た人たちです。
- その人たちの代わりの手段を、その人たちの言葉で書きます。
- 代わりの手段と比べた独自の特徴を並べる。
- 特徴ごとに価値を書き、証拠を添えます。
- その価値をいちばん大事にする顧客を描く。
- 価値がひと目で伝わるカテゴリーを選ぶ。
- まとめて書き、商談とホームページで試します。
ポジショニングステートメントのスキルは、自社の顧客と代わりの手段でダンフォードの 5 つの要素を順に詰め、最後に 1 行にまとめます。
よくある失敗
- カテゴリーから始める。ほかの要素が全部それに合わせて曲がります。
- 直接の競合だけを並べる。本当の代わりの手段は、表計算や何もしないことのことが多い。
- 証拠なしに価値をうたう。
- みんなに向けて位置づける。いちばん合う顧客が、伝え方を鋭くします。
出典について
エイプリル・ダンフォードは、いくつものテック企業でマーケティングを率いたあと、ポジショニングのコンサルタントになりました。『Obviously Awesome』は 2019 年に出て、のちに改訂増補版が出ています。次の本『Sales Pitch』では、同じポジショニングをもとに営業の話の組み立てを扱いました。日本語版は、私たちが確かめた範囲では見つかりませんでした。
このページは、私たちが自分の言葉でまとめた独立した要約です。ダンフォード本人とは関係がなく、承認も受けていません。書名は本を示すためだけに使っています。ほかの解説はビジネス書と戦略書の解説一覧にあります。
よくある質問
ポジショニングの 5 つの要素とは?
エイプリル・ダンフォードの方法では、競合する代わりの手段、独自の特徴、その特徴が生む価値、いちばん合う顧客、市場のカテゴリーの 5 つです。
なぜダンフォードはポジショニング文を批判する?
昔からの穴埋め式の文は、空欄ごとに答えが 1 つで決まっていると前提しているが、多くの商品はいくつものカテゴリーで、違う顧客に向けて位置づけられる、と彼女は論じます。代わりに要素を順に詰めていきます。
ポジショニングはどこから始める?
競合する代わりの手段からです。その商品がなかったら顧客は何を使うか。直接の競合だけでなく、表計算、アルバイト、何もしないことも入ります。
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「ポジショニングステートメント(5つの要素)」スキルが、この手順を AI に任せられる形にしています。自社や担当する市場、数字を渡すと、AI が同じ手順で進めてまとめます。
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出典
- April Dunford:Books — Obviously Awesome と改訂増補版、Sales Pitch、Positioning Canvas のワークブック (閲覧 2026-11-04)
- April Dunford:A Quickstart Guide to Positioning — 5 つの要素。穴埋めのポジショニング文がうまくいかない理由。要素どうしがつながっている (閲覧 2026-11-04)